エクアドル アンデス 列車の旅 山岳鉄道 悪魔の鼻
エクアドルの鉄道の建設は、1872年に始まり、その後、数々の困難を乗り越え、キトとグアヤキルを結ぶ、アンデス縦断の鉄道が開通したのは1908年です。偉大な大統領、エロイ アルファロの時代です。(モンテクリスティ参照)
その後、鉄道は、道路網の整備により、あまり使われることなく、衰退していきました。これは、エクアドルの交通網の発展の特徴と言えます。現在では、観光用列車のみがアンデスの山岳地帯を走り、エクアドル観光の目玉になっております。鉄道列車は、国が運営しております。
2017年11月、私と妻は、グアヤキル郊外のドウラン (Duran) から、アンデスの山岳の町、アラウシ (Arausi)間往復の列車の旅に出ました。
観光列車には、いくつかのルートがありますが、この区間は、コスタ(海岸地方)とシエラ(山岳地方)を結ぶ区間で、鉄道建設での一番の難所であった、スペイン語で悪魔の鼻(ナリス デル デイアブロ)を意味する山の近くを通過します。
記事の終りに、列車の旅のハイライトをビデオでまとめております。車窓からの風景をお楽しみください。
青アイコンをクリックすると、停車駅の簡単な説明と、写真を見ることができます。
ドウラン駅は、グアヤキルの中心部から、北へ車で約20分、グアアヤス川を渡ってすぐの処にあります。
朝、7時頃、グアヤキル中心部のホテルより、予約していた車でドウラン駅に着くと、多くの乗客たちが、乗車手続きを待っていました。ホームでは、土産品を販売しています。
これから、私たちの乗り込む列車です。デイーゼル機関車、客車は5両編成です。
チケットと身分証明書を提示し、いよいよ乗車。客席は、4人掛けと2人掛けの席があり、私たちは、2人掛けの席でした。列車内は快適です。
車内案内、及び、観光案内の放送は、全て、スペイン語ですが、乗務員は、英語が達者で、時折、私たちの席まできて、鉄道線路沿いの町の情報など、色々と説明しに来てくれました。
ド゙ウラン駅から終点のアラウシ駅までは、主な駅に停車していきますが、下車する時に、手荷物を全部、列車内に置いていっても、全く問題ありません。エクアドルでは、バスや車から離れる時は、大切な物は、必ず、身に着けていなければいけません。しかし、この観光列車は、そんな心配は、無用のようです。乗務員が列車内をしっかり管理してくれているので安心です。
ドウランを出発して、最初の停車駅は、ナランヒート (Naranjito)駅、ここでは、この地方で栽培された、カカオから作られた色々な風味の、数種類のチョコレートが販売されています。乗務員のアンドレスが、乗客にカカオとチョコレートについて説明をしています。
世界的には、カカオの生産量は、ガーナなど、西アフリカ諸国が圧倒的に多く、2014年の統計では、エクアドルは7位以でした。中南米諸国の中では、ブラジルと1.2位を争っています。あまり知られていませんが、チョコレートは、エクアドル土産の一つです。
ナランヒート駅のホーム、列車の前で記念撮影をする乗客たち。
人懐こい笑顔の、列車のビュフェのコックさん。ビュフェでは、コーヒーや軽食のサービスがあります。疲れて寝ている乗客。車内の風景も様々です。
列車は、ず〜と川沿いを走ります。車内放送で川の名前を、リオ チャンチャン(Rio Cahn Chan) と言ってました。チャンチャン川、覚えやすく、面白い川の名前です。
12時半過ぎに、ブカイ (Bucay)駅に到着、2階のレストランで昼食。 ここから、コスタ(海岸地方)から、シエラ(山岳地方)へはいって行きます。
いよいよアンデスの山岳地帯に入っていきました。。列車の後部にある観覧車に来ました。線路に人がいますね。一体、何をしているんだろう?
観覧車から、山岳地帯の風景を楽しむことができます。
次の駅のウイグラ(Huigura)駅で出迎えてくれたのは、民族衣装をまとったたお姉さんたちでした。民族ダンスで歓迎してくれました。
乗客も誘われて、一緒に民族ダンスを踊ってます。列車で知り合いになった中国人、3ケ月の出張旅行との事、列車の乗客の中でアジア人は、3人だけでした。
ウイグラ駅を出発して、暫く走った後、シバンベ(Sibambe) 駅の近くで停車、この旅のハイライト、悪魔の鼻 (Nariz del Diablo)の近くに来ました! ここで、乗客たちは、一時下車して、写真撮影です。
悪魔の鼻と呼ばれる、尖った山です。ここは、鉄道建設の最大の難所、数千人の人が、ここでの工事で亡くなったようです。そのため、悪魔の鼻と呼ばれるようになりました。
悪魔の鼻を背景にして、写真撮影には、最適なポイントです。
このあたりから、スイッチバックのシステムで、列車は、500 m 以上を登って行きます。日本では、箱根のスイッチバックが有名ですね。列車は、数回、行ったり戻ったりします。
スイッチバックの線路が二本見えます。列車は、絶壁をゆっくり走っていきます。
朝早くから、長く列車に乗り、少し、疲れてきました。乗務員もその辺は察しているようです。クイズ大会がありました。乗務員がクイズをだし、当てた人は、記念品をもらえます。スペイン語だから、私たちにはかなり難しい。でも、ひとつだけ、聞き取れたのが、”オーストラリアの首都はどこか?” 一人が答えたのが、”メルボルン” で間違い、次に私が、”キャンベラ”と答え、大当たり!ラッキー!ナップサックをもらいました。日本人は、地理には強い?
そして、午後5時半過ぎ、ようやくアラウシ駅に到着しました。ホテルは、駅から歩いて5 〜6分の場所、ホテルに到着した時は、もうあたりは薄暗くなっていました。
夜のアラウシ駅と宿泊したホテル。今回の列車の旅では、ホテルは、旅行社の旅行プランに含まれていました。アラウシは、コンパクトな町なので、大きなホテルは無いようです。これで、一日目の列車の旅は、終了です。
エクアドル アンデス列車の旅 アラウシ 〜 ドウラン
翌朝は、アラウシ駅に6時半に集合と聞いていたので、早めにホテルで、朝食をすませて、アラウシ駅に向かいました。
午前6時過ぎ、まだ辺りは薄暗く、空気が冷たく感じます。南半球ですが、殆ど、赤道直下、でも、2300 m を超える高地なので、朝晩の気温は、10度以下になります。山の上に像のようなものが見えます。サンペドロ像と言うらしい。今回は、あそこまで登る時間はありません。
アラウシ駅の前です。アンデスの山々に囲まれた、谷間の静かな町という印象です。
別の列車が停車していました。恐らく、アラウシとリオバンバ間を走っている列車です。屋根に座席のある列車が走っている、と聞いていたけど、この列車かな?
6時半に集合して、乗車の手続きの予定ですが、やっぱり、エクアドルタイム?いつでも、15分〜30分くらい、予定が遅れます。日本は10分前集合が常識ですね。慣習の違いか、の〜んびりしてます。午前7時過ぎ、アラウシ出発、最初の停車駅のシバンベ (Sibanbe)駅まで、今度は、スイッチバックで山を下っていきます。
車窓からの、アンデスの山々が、清々しく、素晴らし景観です。
アンデスの山岳列車は、足がすくむような絶壁を走っていきます。
スイッチバックで、今まで走ってきた線路が見えます。平地に下りてきました。牛の放牧、のどかな風景です。
アラウシ駅を出発してから、40分程でシバンベ駅に到着、民族ダンスで歓迎。 ラマもお出迎えです。観光写真用で、村の重要な観光収入です。
民族ダンスには、シエラ(山岳地方)の女性たちの日常生活を表現するものがあり、独特なアンデスの雰囲気のあるダンスは、私たち日本人に、郷愁を感じさせるものがあります。
乗客もダンスに誘われて、一緒に踊りだしました。エクアドル人は、歩くよりも先にダンスを覚える、と言われています。それはどダンスが好きな国民のようです。
シバンベ駅で乗車を待つ乗客たち。駅の廻りは山に囲まれ、町らしい処は、見かけませんでした。
シバンベ駅を出発して、約1時間、てウイグラ駅に到着、行き(ドウラン〜アラウシ)の時は民族ダンスで歓迎してくれましが、今度は、他の乗客と一緒に、丘の上までウォーキングです。
丘を上る乗客、まだ、高地なので息がきれます。100年前に建てられた、エクアドル鉄道の建物が見えます。以前は、鉄道運営の拠点でしたが、現在は、リオバンバに運営拠点が移され、廃屋になっています。
丘から眺めた列車。1930年頃、寄付によって建てられたマリア像が丘の上にありました。
ウイグラ駅を出発し、コスタ(海岸地方)のブカイ駅の近くまでやってきました。エクアドルのローカルでは、三輪車の乗り合いラクシーが走っています。
その後、ブカイ駅で昼食をとり、列車の旅の出発駅、ドウラン駅に到着したのは、午後5時過ぎでした。
列車の旅では、旅のハイライトである、「悪魔の鼻」を見ること目的でしたが、コスタ(海岸地方)から、シエラ(山岳地方)への、変わりゆく車窓からの眺めを、堪能できました。ウイグラやシバンベでの民族ダンスも印象的でした。エクアドルは、小さな国土ながら、自然的にも民族的にも、多様性に富んでいることを、肌で感じることができた、一泊二日の、楽しいアンデス列車の旅でした。
エクアドル アンデス列車の旅 ビデオをご覧ください。
アンデス列車の旅は、エクアドル現地の旅行会社、ナウタルーツの石倉さんにお世話になりました。 日本人旅行者の担当ですので、日本語で親切に対応してくれます。
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