異文化コミュニケーション 〜 エクアドルでの体験事例
2016年〜2017年の2年間、JICAのシニア海外ボランティアの活動で、エクアドルの海辺の町、サリーナス住んでいた時、3人の知人にお金を貸しました。
一人は、私の住んでいた、アパートの管理人、他の二人は、アパートと職場間の送迎をしていた、タクシーの運転手でした。
管理人は、子供の学校への入学のため、運転手は、車の修理やトラブル処理のため、”どうしてもお金が必要” という理由でした。
日頃からお世話になっていた人たちで、大変に困っている様子だったので、直ぐにお金を手渡しました。彼らは、大喜びで、「本当にありがとう!期日までには必ず返すからね。」 と大変、感謝されました。
ところが、返済の期日が過ぎても、一向に連絡がなく、帰国の日が近づいてきたので、何回も催促しました。運転手には、電話も通じなくなり、連絡が途絶えました。 管理人には、返済はできない、助けて下さい。 と言われました。そして、とうとう、お金は戻ってきませんでした。
お金のことより、信頼を裏切られた気がして、がっかりしたうえ、大変ショッキングな出来事でした。サリーナスに住んでいた、アメリカ人も同じ目に合って、大きなトラブルになったようです。
彼は、これは、「ここの習慣だから、しかたないよ。貸したお金はプレゼントだと思っているようだから。」 と達観していました。でも、私たちの常識では、「これは、詐偽だよ。全くありえな い話」と思えるでしょうね。
思考と行動のパターンは、文化や慣習の違いから、そして、文化の違いは、その国や地域の気候、地形、歴史、宗教や政治などが関連しています。
2年間、エクアドルで暮らしてみて、エクアドルの多くの人たちは、陽気で親切ですが、時間と約束を守ることにはついては、寛容のようです。
このケースは、カトリックの国の「助け合いの精神」なのか?勿論、エクアドル人でも個人差があるでしょうが、正直、どうしても理解できませんでした。
知りあいのエクアドル人の誕生パーティーに招待された時のこと、午後9時からと始まると言っていたので、9時頃にパーティー会場のレストランに行きました。
しかし、レストランには、本人以外は誰もいませんでした。いつまでたっても、誰も来ません。「エ〜どうしたんだろう?」と思っていたら、10時過ぎ頃になって、やっと友人たちが、ぼちぼち、やって来ました。本格的にパーティーが始まったのは、11時頃でした。
勿論、エクアドル人でも個人差があります。首都のキトで知り合ったタクシーの運転手は、時間には正確でした。地方(田舎)へいくほど、のん〜びりムードです。
私の住んでいたサリーナスは、都会からは、遠く離れた海辺の町で、物価は安く、治安も良いので、本当に暮らしやすいところです。しかし、10年近く、サリーナスでビジネスをしているアメリカ人の不動産屋さんも、時間の感覚のズレには、大変苦労している様子でした。
挨拶では、エクアドル人は、一般的に、お互い、近くに接近します。職場に行くと、男性同士は握手で始まり、女性同士や男女は、頬へのキスです。別れ際も同じです。
ホテルや職場のエレベータでは、知らない人にも軽く挨拶をします。午前中なら、”ブエノス ディアス”(おはよう)です。これは、大変、良い習慣かと思います。日本では、知らない人に声をかける人はいませんね。
トイレには、大都市の一流ホテルやどんな場所でも、トイレットペ−パ−を入れる容器が用意されています。「トイレットペ−パ−は、便器には流さないように」という注意書きがあります。これには、ちょっと戸惑いました。
汚水管が詰まるのが、理由のようですが、トイレットペ−パ−は、水に溶けるので、どうも納得がいきません。これも昔からの習慣のようです。
ちょっと、余談ですが、外資系の船会社に勤務している時、一年間、パナマに駐在したことがあります。パナマ市の中心街のスーパーマーケットに、毎週、妻と買い物にでかけました。
そこには、恐ろしく不機嫌で感じの悪いレジ係、客をほったらかして、おしゃべりしているレジ係のお姉さんたちがいて、レジに並んで支払いをするのが苦痛でした。まるで「ここのレジには並ばないで」と、彼女たちから言われているようでした。
恐らく、仕事に対する考え方や価値観の違いですね。こんな時は「なんて、「日本はすばらしい国だ!」と思います。親切で丁寧な接客、確かに、「おもてなしの国」です。日本へ来ている外国人の観光客も感心しているようです。
このように、日本では常識と思えることも、外国ではそうではないことが多々あります。
しかし、心配することはないと思います。どこの国や地域であっても、そして、少しくらい言葉が通じなくても、お互いの文化を理解しあい、共通の認識を持つことを意識して、明るく、人に親切に接していれば、自然に信頼関係を築くことができると思います。
一方、「そんな綺麗ごとを言っても、嫌な奴はいるよ」と言う人も多いと思います。どうしても、会うのが嫌な場合は、大抵、相手も嫌でしょうから、できるだけ、顔をあわせないのが賢明かと、思います。
しかし、ビジネスでの商談相手や、会社の上司が、そのような場合は、困ります。
その時は、これは、一つの「学びか試練の場」としてとらえ、ポジティブ考えるべきでしょう。少しづつ、状況が良い方に変わるかも知れません。
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