異文化コミュニケーション 日本企業〜外資系での体験例

異文化コミュニケーション 日本企業〜外資系での体験事例

異文化コミュニケーション 日本企業 〜 外資系での体験事例

私は、関東圏(静岡県、焼津市)の生まれです。そのため、外国船会社の代理店に入社直後、大阪支店の営業課に配属した時は、関西弁の独特の言い回しによるニュアンスに、何となく、馴染めなかったのを覚えています。

 

言語のニュアンスには、その地域の文化的要素が含まれています。

 

例えば、大阪の人は、商談の時、よく「考えておきます。」と言います。これは、「お断りの返答」のようです。大阪人の商談相手への「気遣いと思いやり」だと思います。

 

しかし、知らない人には、誤解を招くことがあります。私は、このことを理解した時から、関西は本当に住みやすい地域だと思うようになりました。

 

東京本社へ転勤後は、外国船社の駐在員と仕事をする機会が与えられました。 ある時、突然、駐在員のチリ人から、英語で電話があったのですが、何を言っているのかさっぱり判りません。「これは、困った!……」黙っていたら、相手は怒り出しました。

 

駐在員のオフィスは、同じビルにあったので、その時以来、何か用事がある時は、駐在員のオフィスに出向いて、話をすることにしました。

 

その頃の私の下手な英語でも、ジェスチャーを交えながら、一生懸命、自分の意思を伝えようとすれば、何とか通じるものです。特に、頼まれた時期までには、必ずレポートをするように心がけました。このようにして、少しづつ信頼関係が構築されていきました。

 

日本人の特徴である、時間と約束をきっちり守る側面を評価してくれたのです。相手も、結論を急がせる要求をしてきたこともありましたが、和を大切にする日本の文化を説明して、こちらの考え方を理解してもらいました。

 

このようにして、お互いが理解して歩み寄ることで、異文化コミュニケーションが成立しました。

 

異文化コミュニケーションは、お互いの信頼関係を構築するためのプロセスには、必要不可欠なものです。

 

1990年頃から、代理店業は、外国船会社の日本法人設立や、日本からの輸出の減少等よる日本市場からの撤退などで、経営が苦しくなってきました。その頃、多くの従業員が、代理店業の仕事に見切りをつけて転職していきました。

 

私の勤務していた会社は、日本の大手船会社の子会社でしたが、代理店業の経営危機から子会社を切り離すことを決定したため、従業員は雇用不安の状況を余儀なくされました。

 

親会社からの独立にあたり、雇用条件等で組合側との折り合いが付かず、親会社からの圧力にあせった会社は、組合員全員に対して、いきなり、「解雇通知」をだしました。会社側、従業員にとっても、危機的な状況であったため、話し合いで妥協点を見出すことができなかったのです。

 

私は、ちょうどその時、組合委員長を任されていました。会社から解雇通知を受け取った時は、驚くと同時に、会社側の乱暴なやり方に、「怒り」がこみ上げてきました。

 

組合員の中には、意気消沈した人もいましたが、上部団体と相談の末、弁護士をつけて、東京地方裁判所に “解雇権の乱用” という内容で、提訴いたしました。

 

そして、東京地方裁判所での7回におよぶ審訊の結果、組合員全員が新会社へ移籍できること、会社側はからは“和解金”を出すということで、収束いたしました。

 

会社との折衝、組合員の意見の集約や調整には、体力的、精神的にも、大変パワーが必要ですが、この時は、社内において立場の違う者同士のコミュニケ-ションの難しさを痛感しました。

 

残念ながら、団体交渉時には、どうしてもお互いに感情的になる場面があり、交渉相手を怒鳴ってしまったこともありました。

 

もう少し、お互いに相手の立場を理解し、尊重しながら、話し合いに臨むべきだったと思います。

 

一方、本件の交渉が無事に収束できたのは、組合員、上部団体及び弁護士など、関連する人たちが、情報を共有し、最終的に、共通の認識を持つことができたためです。

 

私は、新会社で1年勤務した後、外資系船会社に転職しました。自社船を運航している、北欧のグロ-バル企業の東京支店でした。

 

外国人も一緒に働いていたので、社内メイルは、なるべく、共通語である英語を使用していました。外国人が出席する会議では、日本語での会話は、控えるようにしていました。彼らに、誤解を与えないようにするためです。

 

プライベ−トの会話では、日本語を交えて交流を深めても構いませんが、仕事では、お互いに相手の立場に気を配る必要があります。

 

グロ-バル会議で、各国の外国人を東京に集め、顧客を招待して会議をすることがありましたが、外国人たちも、顧客との名刺交換や、挨拶の仕方など、日本の文化やビジネスの慣習を学んでいます。

 

私は、グロ-バル会議、研修や顧客訪問などで、度々、海外出張の機会があたえられました。ヨーロッパ、アメリカ、アジア、中近東、中南米など、それぞれ、文化と習慣の異なる国々です。

 

グローバル会議や研修での最初の頃は、日本人が出席している時は、どうしても、日本人同士のグループができてしまいます。日本人が出席しない時は、アジア人同士のグループができます。欧米の英語での会話についていくのが厳しいからです。

 

欧米人の中に積極的にはいって話をして、英語の会話に慣れてくれば、徐々にその傾向は無くなってきますが、小グループでワークショップをするときなど、なかなか、発言をすることができなくて、苦痛を感じることがありました。

 

言語の問題もありますが、個人の意見を自由に言い合い、ディベートに慣れている欧米文化や教育の違いもあります。日本人は、その点控えめで、意見を言う事にも慎重です。

 

又、外資系企業は、一般的に、従業員にとって良くても、不利益になる場合であっても、決断が早く、変化を厭わない傾向があります。例えば、突然の企業合併や吸収、雇用調整などです。

 

私の勤務していた企業でも、一般の従業員が全く予期しないうちに、突然、合併の発表がありました。

 

欧米の外資系企業で活躍するためには、私たちの文化や自分自身の考えを明確に認識したうえで、このような欧米の文化や習慣に対応していく必要があります。

 

 

 

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どこの国や地域であっても、少しくらい言葉が通じなくても、お互いの文化をを理解し、共通の認識を持つように努力して、明るく、人に親切に接していれば、自然に信頼関係を築くことができると思います。

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